| JOURNAL | 2023.11.03

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斉藤壮馬の健康で文化的な最低限度の生活|第1回|最高の鞄

ボイスニュータイプ本誌でも好評の「斉藤壮馬の健康で文化的な最低限度の生活」がKIKI でも定期連載としてスタート! 斉藤さんの文章の世界をお楽しみください。

さいとう・そうま4月22日生まれ/山梨県出身/81プロデュース所属/主な出演作は、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(緋村剣心)、「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」(夢野幻太郎)、「ビックリメン」(フェニックス)など。単行本「健康で文化的な最低限度の生活」が好評発売中。

撮影山口宏之
スタイリング本田雄己
ヘアメイク紀本静香
「健康で文化的な最低限度の生活」発売中
https://www.kadokawa.co.jp/product/321805000544/


第1回
最高の鞄


かなり昔、おそらく「つれづれなるままに」の連載の方で、「最高の時計」(第3回)についての小文を書いた記憶がある。

それまでは時計やアクセサリーには興味がなかった、というかむしろ苦手だったけれど、世界がひらかれてそれらを身につけるのが好きになった、でも最高の時計にはまだ出会えていない……というような内容だった。たぶん。

その後何本か時計を買い、お気に入りのものにも出会えた。とりわけ好んでつけているのが、製造されてから数十年経っている未使用のヴィンテージウォッチで、小ぶりなフォルムがぼくの腕によくなじむ。

スマホがあるから時計なんて見ないだろ、とも思っていたのだけれど、意外や意外、思っていたより便利なもので、つけていないときでも無意識に左腕を確認してしまう癖までついた。

そんなわけで、時計に関しては、最高とまではいかないまでも、気に入るものに出会えている。

しかし。
人間の欲望というのはげに恐ろしいもので、一つ満たされると次に欲しいものがすぐに思いついてしまう。欲望を欲望するとはよく言ったものだ。

目下ぼくが最高の○○シリーズで探し求めているもの、それが鞄である。



もともと10代のころは鞄にまったく頓着していなかった。あくまでもそれはものを入れる道具にすぎず、デザインや機能性などどうでもよかった。

けれどファッションに目覚め、しかも声優という仕事を生業にするようになって、その考えは一変した。そう、何を隠そうぼくらは、とにかく、めちゃくちゃ、荷物が多いのだ。

たとえば1日に3作品のアフレコがあるとした場合、最低でも3冊の台本を持ち歩く必要がある。

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