2018年にアーティスト活動をスタートさせ、シングル３枚、フルアルバム１枚を発表した古川慎。自身が手掛けたストーリー性のある歌詞と、深みのある歌声で、独自の音楽の世界を確立した彼が、さらに濃度を高めたコンセプトミニアルバムを11月17日（水）に発表した。「部屋」をテーマに新作５曲を収録した「ROOM Of No Name」で、アーティストとしての古川慎の新たな一面や進化を感じてほしい。


やりたいことを詰め込み
「古川慎」の世界を形に


――ミニアルバムという形になった経緯やコンセプトを教えてください。

古川：１stアルバムを作った後に、ひとつのものをテーマに作詞してみたいとお話ししたところ、それならコンセプトアルバムという形はどうかという提案をいただいたんです。それでコンセプトアルバムを作るなら、フルアルバムよりもミニアルバムにして、やりたいことを全部詰め込んでみようという話になりました。コンセプトは「部屋」です。当初、ぼんやりと浮かんでいたのは「不自由な部屋」。閉じ込められて出られない、というようなことをイメージしていました。理由としては、今さらながらコロナ禍で不自由だと感じることが増えて……。それも加味して、「部屋」というのは生活に必要な最低限の単位というか、暮らしていく上で誰もが持っているものだと思うので、イメージしやすいだろうな、と。曲に関しては、こういう曲をやりたいという自分の好みをお話しして、そこから集まっていった５曲で、曲自体と「部屋」というコンセプトには相互関係はなかったんです。それを作詞という自分の作業でいかにつなげていくか考えつつ、形にさせてもらいました。

――リード曲「Forsaken kiss」は歌詞がすべて英語で驚きました。

古川：単純にやってみたかったんです。自分がやりたいという、いつもそればかり(笑)。「from fairytale」の発売記念イベントのときに、僕が「全英歌詞の曲を歌いたい」と言ったのを拾い上げていただいたきました。全英歌詞をやってみたいと思ったのは、単純にかっこいいから(笑)。曲については、プロデューサーの桑原（聖）さんが、僕に合いそうなジャンルとしてアシッドジャズというものを紹介してくれたので、それに僕が歌詞を書き、トランスレーション（翻訳）していただきました。ちなみに、「Forsaken kiss」の歌詞を書いたとき、日本語でも歌えるような音のはめ方で作ってみました。桑原さんとも「英語と日本語を交ぜて歌うのも面白いよね」と話していたので、いつかそういったこともできたらいいですね。

――ご自身が書いた歌詞が英訳されたのをご覧になったときの感想は？

古川：びっくりしました。英語って日本語よりも単語数や文節が長くなる傾向にあるじゃないですか。返ってきた歌詞が、自分が書いた歌詞の内容をカルピス原液くらいに濃縮した英訳になっていて、めちゃくちゃかっこよくて。すごく詩的な言葉になっていて、僕だけでは表現できない英語ならではの世界観だと思いました。でも、ひたすら単語数が多いので、仮歌を聴いたときには英語の速さにびっくりしましたね(笑)。とにかく難しくて、これは相当頑張らないといけないなと、仮歌をいただいてからずっと聴いて練習していました。

――レコーディングはいかがでしたか？

古川：練習の甲斐があって、それほど手こずることなくできたのですが、英語の発音は音階がつくと甘くなることを再認識したので、どこかで披露する機会があるなら、もっと精度を上げて歌えたらと思っています。

――他の４曲についても教えてください。

古川：作詞に関しては、全体に「あなた」や「きみ」といった、自分ともうひとりがいるような歌詞の作り方をしています。５曲を通して聴いたときに、自分の手に入らなかったものや、手の届かなかった未来が「あなた」や「きみ」としてイメージしてもらえたらいいなと思いながら作詞しました。曲については全部自分のやりたい音楽で、２曲目の「灰硝子」はロカビリー、３曲目の「揺籠とクローバー」はＲ＆Ｂ、４曲目の「夕凪を連れて」はライトポップ、５曲目の「Craving」はエモいロックです。「部屋」というコンセプトがありつつ、先ほどお話ししたように自分がそうありたかったもの、そうあってほしかったものなど、目標や夢をテーマに書かせてもらってはいますが、ぜひ聴いてくださる方の感覚で楽しんでもらえればと思います。

「ROOM Of No Name」
11月17日（水）発売

初回限定盤(CD＋BD) LACA-35914　4,290円(税込)
通常盤(CDのみ) LACA-15914　2,310円(税込)

古川慎アーティスト公式サイト
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