| PICK UP | 2022.03.31

山下大輝の歌声が心に優しい灯りをともす。待望の新譜「キャンドル」インタビュー

昨年、声優活動10年目という節目に、アーティスト活動をスタートさせた山下大輝。1st EP「hear me?」以来、約10ヶ月ぶりとなる新譜「キャンドル」を3月30日(水)にリリースした。新曲は、yama「春を告げる」のサウンドプロデューサーとしても知られる気鋭のボカロP・くじらによる書き下ろし。さらにジャケットイラストを、ヨルシカ作品など多くのアニメーションMVを手掛ける大鳥が担当している。聴く人の心に寄り添いたいと語る山下が、楽曲に込めたメッセージとは——?

やました・だいき9月7日生まれ/静岡県出身/アーツビジョン所属/主な出演作品は、「僕のヒーローアカデミア」(緑谷出久)、「弱虫ペダル」(小野田坂道)、「ポケットモンスター」(ゴウ)ほか。


聴いた人それぞれが
自由に想像してほしい


——3月30日(水)にリリースされた新譜「キャンドル」は、くじらさんによる書き下ろし楽曲となっています。最初にデモ音源を聴いたときの率直なお気持ちはいかがでしたか?

山下:僕の声を知ったうえでつくってくださったとわかって、すごくうれしかったです。ありがたいことに僕の出演作を見てくださっていたそうで、声のレンジ(声域)を踏まえ、僕の声が一番生きるようなメロディをつくっていただいています。僕はわりと音域の幅が広いタイプなのですが、新曲の「キャンドル」ではフルに使ってくださっていて……! その分、歌いこなすのは難しいんですけど(笑)。歌詞も考察意欲をかき立てられるような、いろいろな捉え方ができる楽しさが詰まっています。くじらさんの楽曲が描く独特な世界観が素敵だなと思っていたので、書き下ろしていただく曲にもその世界観をふんだんに盛り込んでいただきたかったんです。くじらさんらしい雰囲気のなかで、ポジティブなメッセージを伝えられるような曲をめざしたいなと。ただポジティブといっても、力強く引っぱっていくというよりは隣に寄り添うような曲にしたかったので、そのあたりも打ち合わせで伝えさせていただきました。

——ご自身のなかに明確なコンセプトがあったんですね。レコーディングでは、どんなところにこだわられましたか?

山下:メロディの上がり幅というか、高低差がある分、裏声と地声の歌い分けにはかなりこだわりました。一番エモーショナルに聴こえる歌声をめざして、スタッフさんと話し合いながら、かなり長い時間をかけてレコーディングしています。テイクを重ねるうちに僕がどんどん頑固になっていくんですよ(笑)。スタッフさんに「今のよかったですよ」と言っていただいても、「もう一回やっていいですか…!」と自主リテイクをお願いし続けていました(笑)。


——ジャケットイラストは、ヨルシカ作品のMVなどを手掛けられている大鳥さんが担当されています。

山下:大島さんの作品は説明しすぎないというか、見ている人が想像できる余白が残っているところが素敵だなと思っていて、まさに「キャンドル」の世界観にぴったりだったのでお願いしました。ジャケットイラストの人物は目元しか見えないようにフードを深くかぶり、表情も性別もわからないデザインになっています。背負っているタンクは心臓につながっていて、そこから垂れる雫で荒廃した大地に花が芽吹く様子も描いていただきました。イラストから「自分の命の灯火が生きてきた標(しるべ)になる」「自分も誰かの、何かの力になっていたかもしれない」というメッセージを伝えられたらいいな、と思っていて……。作品に触れてくださった方の心に何か芽吹くものがあったら、ほんわかと希望が灯っていたらうれしいです。

——ご自身初となるアニメーションMVにも挑戦されています。

山下:もともとアニメーションMVを見るのが好きだったので、いつか自分の楽曲でもつくれたらいいなと憧れていて。さらにアーティストとして新しいことに挑戦したい、応援してくださる方にサプライズをお届けしたいという思いもあって、アニメーションMVという表現になりました。このMVを通じて、絵本を読むように「キャンドル」というひとつの物語を楽しんでいただけたらうれしいです。

——アーティストデビューから1年となりますが、ここまでの道のりを振り返られていかがですか? また、今後さらに表現したいこと、挑戦したいことはありますか?

山下:アーティスト活動を始めたきっかけは、「コロナ禍でさまざまなことがままならない時期だからこそ、声優としてだけでなく、歌を通じて聴いてくださる方と一緒に元気になれたらいいな」と思ったからでした。1年経った今もその気持ちは変わらず、作品を通してポジティブなメッセージを届けていきたいなと思っています。そしてこれからも新しいチャレンジを続けていきたいですね。新しい人と一緒に何かをつくるときって、新しい自分が生まれるチャンスだし、成長につながると思うんです。あとはシンプルに、一緒にものづくりがしたいと思った方にお声がけしているので、毎回本当に楽しいです。せっかくアーティストとして携わらせていただくからこそ、やりたいことは全部やろう、ちょっとでも気になったらとりあえず動いてみようと決めていて。聴いてくださる方にも「次はどんな曲なんだろう? どんな人と何をやってくれるんだろう?」とワクワクしていただけたらいいなと思います。


——最後に「KIKI」読者、ファンの方へメッセージをお願いします。

山下:久しぶりの新曲「キャンドル」は、受け取り方も解釈も、本当に自由な曲に仕上がっています。聴いてくださった方がどう受け止めてくれるのか、どう感じていただけるのか、今からとても楽しみです。そしてキャンドルの火のように、この曲を聴いてくださった人の心に優しい灯りをともせたらいいなと思っています。ぜひ聴いてください。よろしくお願いします。

デジタルシングル「キャンドル」
作詞・作曲・編曲:くじら
ジャケットイラスト:大鳥

各音楽配信サービスにて配信中
https://A-Sketch-Inc.lnk.to/Daiki_Yamashita_Candle
ミュージックビデオ https://youtu.be/EqawINXlh70

山下大輝 Official Site https://yamashitadaiki.com/
山下大輝 Music Staff Official Twitter @DAIKING_staff

藤谷燈子