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今年は「痛快群像劇!」がテーマ! 「AD-LIVE 2022」東京公演2日目、夜公演レポート
アドリブでひとつに
「AD-LIVE 2022」は「AD-TV(あかるいどんどんテレビ)」が局をあげて制作する生放送番組の当日が舞台の3人芝居(彩-LIVEとして鈴村健一、砂川禎一郎も参加)。東京・千葉・大阪でそれぞれ2日間の昼夜公演を日替わりキャストで行ない、毎回異なった物語をつくり上げる。全公演共通の設定は、〝スタッフのひとりが番組に必要な映像などを消して失踪してしまう。残された番組スタッフは、ほかの登場人物たちと協力して放送終了までのラストまでを繋いでいく……〟というもの。キャスト3人はあらかじめ割り振られた役割を起点に即興で舞台を構築していく。
キャラクターAは「絶対に失敗できない番組制作スタッフ」、キャラクターBは「現場に現われた謎の人物」、キャラクターCは「番組に出演することになった、ある想いを秘めた人物」。最終的にA、B、Cがどんな関係性をもっているのかはキャスト次第。もちろんひと筋縄でいくはずもなく――。東京公演2日目となる8月28日(日)は逢󠄁坂良太と森久保祥太郎、そして俳優の陳内将が出演した。
舞台上に照明が当たると、キャラクターAを担う逢󠄁坂がつけ髭にサングラスとアフロパーマ、片手に木刀といういかつい姿で立っている。
続いて登場したキャラクターBの森久保はメガネをかけたカジュアルな装いで逢󠄁坂とは正反対の雰囲気。
逢󠄁坂のチンピラ口調のタメ口を森久保がうまく受け止めつつも、会話のなかで2人が同じ局のディレクターであり同僚だということを確認していく。
キャラクターCを担当する陳内は、白を基調としたボーダーシャツとピンクのパンツ、髪の毛を高い位置で2つに結び、さながらツノヘアといったかわいらしい髪型で最後に登場し、自分のことを「文化人です」と胸を張る。
しかし「文化人」という単語の曖昧さに逢󠄁坂と森久保は戸惑うばかり。
スタッフの失踪後、残されたのがディレクター2人と謎の「文化人」という取り合わせは何とも心許なく思えるのだが、掛け合いが始まってみれば3人ともアドリブワードを使ったやりとりも巧みで、会話が偶然噛み合っていったり、そうかと思えばズレていったりと無数に笑いを誘い、会場はあっという間に温まっていった。
物語が進んでいくと、だんだんと逢󠄁坂と森久保の対立構造が浮き彫りとなっていく。さながらサスペンス劇の探偵ように逢󠄁坂を追い詰めていく森久保。はじめは「俺は大きいものが好きなんだ」と巨大な小道具を取り出しては呑気に小さなボケを見せていた逢󠄁坂だったが、徐々に物語はシリアスな展開へと舵を切りはじめる。
そんな2人の話だけでも完結しそうな舞台に、陳内は違うアプローチで関わっていく。正体不明の「文化人」であった彼のある行動がクライマックスで思わぬ繋がりを見せる。
〝過去のある事件〟を主軸にしながらも、3人それぞれのキャラクター性が生かされ、会場は終始笑いに包まれた。当初は森久保に対してタメ口だった逢󠄁坂が終盤になると敬語になっていったりと、演技なのか素なのかわからない細かい変化も観客をくすりとさせる。3人ともアドリブとは思えないほど軽快な芝居を披露し、特に陳内は独特のペースで巧みに場を転がしていたのが印象的だった。番組内のミニコーナーを成功させた逢󠄁坂が、「光が差してきたぜ!」と叫んだ場面では、「サングラスかけてるのに?」と、陳内の控えめながら鋭いツッコミが光る。森久保は次々に話題を提供して物語をテンポよく展開させつつ、一方で、俯瞰した視野で駆け引きの妙を演じるといったさすがの立ち回り。
TV番組をつくっていたと思ったら、最後にはある事件の真実が明らかになり驚きの結末へ……という流れを誰が予想できただろうか。見事に3人の物語が収束していくと、カーテンコールでは会場から万雷の拍手が送られた。舞台のほとんどがアドリブだと知っているがまるで仕組んだように立ち上がる、「AD-LIVE」と出演者にすっかり魅了された90分となった。
「舞台劇『AD-LIVE(アドリブ) 2022』」
●2022年8月28日(日)東京・J:COMホール八王子
公式サイト https://ad-live-project.com/
CAST
逢󠄁坂良太、森久保祥太郎、陳内将
© AD-LIVE Project
文●細川洋平
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