| PICK UP | 2017.05.10

羽多野渉が奏でた“旅”の音色――Wataru Hatano Live Tour 2017“LIVE CARAVAN”ファイナル公演レポート

5月17日に発売される初のアーティストブック「Grateful」で、「声優」の自分だからこそできるライブへの揺るぎない思いを語っている羽多野渉。2月26日の柏PALOOZA公演を皮切りに全国4か所を巡って行われたツアー「Wataru Hatano Live Tour 2017“LIVE CARAVAN”」では、色彩を軸に、物語性の強いミニアルバム「キャラバンはフィリアを奏でる」の楽曲と既存曲をみごと融合させたパフォーマンスを繰り広げた。その旅は次元を越え、心のなか深くへ潜り、そして未来へと繋がる――。音楽活動5周年の節目にふさわしい新たな“門出”として成就した、東京・EX THEATER ROPPONGIのファイナル公演の模様をお届けしよう。

まだまだ続く旅路を
羽多野渉とともに



空港のざわめき、飛び立つ銀翼のエンジン音。オープニングのSEが「You Only Live Once」の透明で浮遊感のあるメロディへと流れ込んでいく。この“旅”のテーマを投影したトランク型スクリーンの向こうから羽多野が姿を現すと、青と白のペンライトで埋め尽くされたフロアが歓喜に揺れた。「泣いても笑ってもこれが最後です。最高に盛り上がって行こうぜ!」。EDMと呼ばれるクラブサウンドから、オシャレなのによくよく聴けば「ただのオタク」な恋を歌っている「君がいるセカイ、君のいない世界。」へと、彼らしい次元の橋渡しにグッときていると、さらに「流星飛行」で、心は高く幾億の夢が輝く空へといざなわれていく。まさに、テイクオフの高揚そのものといった幕開けだった。




どこからともなく、民族音楽ふうの調べとナレーションが聞こえてきた。大陸を思わせるロングガウンを羽織った羽多野は「流転流浪」を歌い、燃え上がる炎、赤錆、食いしばった唇の血の味さえ感じられるような「紅」の世界を生きる。さらにドラマチックに続く「明日の篝火」では、セリフを一部アレンジ。「この旅を続けることこそ!」と爆ぜるように言い放ったとき、楽曲に描かれた旅人の物語と会場のリアルが交錯した。驚くべきことに、和から洋の世界へと転覆を図るかのごとく「覚醒のAir」「運命のCoda」へとノンストップで畳み掛ける。アグレッシヴな歌唱、そして求愛のダンス。「行くよ」と囁いてから放つリップ音もにくらしい。会場が熱狂に湧き立つ。


2人のダンサーによるエモーショナルなインタールードが火照る空気を沈め、「リトル・レジスタンス」へ。緑深い森の中、木々から漏れる光のようにイノセントな羽多野の歌声が、心を癒やしていく。汗をぬぐうには絶好のタイミングで「Rolling life」。それぞれが手にしたタオルを振り回し、爽やかな風が巻き起こる。「さあ、笑顔を見せてよ!」と節を外して希い、フロア中をじっくりと見渡す表情も幸福に満ちていた。




おしゃべりなライブで知られる羽多野だが、なんと今ツアーではここで初めてのMC。どうにか息を整えながら挨拶し「普段、あんまり動かないから体がビックリしちゃってる」と言って、笑わせた。また、ツアーファイナルということでスペシャルゲストが登場。デビューシングルを手掛けた山下洋介の演奏するピアノで、まずは「君はぼくが帰る場所」。もう1曲、子供のころから大好きだったアニメ主題歌のカバー「ブルーウォーター」。フロアに灯された光の大海原の中、信頼する音楽家とともに思いを奏でることの喜びが伸び伸びとした歌声からも伝わってくる。山下から今さらのように「羽多野さんの甘い声で女性の曲を歌うとキュンとくるね」と言われ、うれしい不意打ちに照れてしまう場面も。



クライマックスの始まりを予感させる「I’m a Voice Actor」。自身のテーマソングにして声優賛歌ともいえるこの曲を、コミカルなダンスを交えながら高らかに歌う姿は、音楽活動5年を迎えた今あらためて胸にせまるものがある。キャラクターを早替えする妙技やご当地アドリブも、ツアーならではのお楽しみがあった。「今日だけで5公演くらいやっている気分! みんなのパワーがすごいので、それに追いつこうと頑張っちゃうんですよ。本当に、みなさんのおかげでライブをさせていただいているなと思います」。そんな羽多野とファンが、振りを共にしながら、あふれんばかりの笑顔で結びあった「Never be too late」。腕を左右に大きくウェーブさせながら「ラララ」と、ハッピーなシンガロングを響かせた。

「千秋楽ということで緊張していたのですが、みなさんのおかげですごく楽しみながらステージに立たせてもらっています。ほとんど“楽しい”という気持ちだけで歌っています!」。さまざまなチャンスを与えてくれた「ユーリ!!! on ICE」という作品への感謝を語り、本編ラストの「You Only Live Once‐everlasting‐」へ。羽多野自身の歌声を活かしたアレンジに、さらにファンのコールとハンドクラップも加わり、一層ぬくもりを感じるライブならではの楽曲へと進化していた。

アンコールの声に応えて再登場した羽多野は、弾き語りで「Hikari Unplugged」を披露。慣れないギターを抱いて必死にメッセージを伝えようとする姿に、心が震えた。さらには「キャラバン・トーク」のコーナー。「あなたがフィリア(親愛)を伝えたい人を教えてください」というテーマのもと寄せられた「羽多野くんのファンのみなさんへ。いつも一緒に楽しんでくださり、ありがとうございます。みなさん、大好きです!」という投稿を読み上げると、自身も「みなさんは僕の誇りです!」と、声を大にしていた。「むぎ元気ー?」と聞かれれば愛猫自慢をし、「頑張れーっ!」と言われれば「嬉しい!」と腕を大きく広げる。飾らない距離の近さが、ファンと共に作り上げてきたアットホームなライブの所以である。


今回のツアーを通して、自分を支えてくれるスタッフの愛情を実感したという羽多野。中でも、スクリーンに流れる映像を手掛けているエンジニアとじっくり話す機会に恵まれたことで、さらなる“ワガママ”をお願いしてしまった……と話す。それは、名古屋公演1回きりの予定だったキャラソンを再び歌うこと。「『聞けよリア充ども!』って! 六本木に響かせようぜ!」。高らかに吠え、ハートがいっぱいにあふれるゴージャスな映像を背景に「SEKAIはボーイミーツボーイ♂」へ。「Say『BL』!」「BL!」熱いコール・アンド・レスポンスが六本木の夜に轟く。果てには「みんな最高! 六本木がひとつになった……マジ尊いわ」と漏らした。その一体感のまま、羽多野のライブではお決まりとなっているラスト・ソング「はじまりの日に」。「これで終わりじゃない、僕たちの旅はまだまだ続いていくんだ」――。そんな羽多野の、そしてファンの願いが重なり合う大合唱が、次なる章へと向かう力強い一歩となっていった。

「おこがましくも自分たちから何か発信しようなんて考えていながらも、ツアー8公演、本当にみなさんの方からエネルギーをいただいてしまいました。音楽活動を始めて5周年経ちましたが、これが新たな“はじまりの日に”になるよう頑張っていきます。ありがとうございました!」。鳴り止まない拍手と「ありがとう!」の声の中、最後の最後まで感謝の気持ちを伝える羽多野。退場後には、ツアーの軌跡を振り返るエンドロールが。直筆で綴られた「これからもいろんな景色を見に行こう、一緒に!」という言葉が、あたたかな余韻とともに心に残された。



Wataru Hatano Live Tour 2017“LIVE CARAVAN”
2017年3月26日 夜の部
EX THEATER ROPPONGI

SET LIST
M1 You Only Live Once
M2 君がいるセカイ、君のいない世界。
M3 流星飛行
M4 Synchronic
M5 流転流浪
M6 明日の篝火
M7 覚醒のAir~運命のCoda
M8 リトル・レジスタンス
M9 Rolling life
M10 君はぼくが帰る場所
M11 ブルーウォーター
M12 I’m a Voice Actor
M13 Never be too late
M14 You Only Live Once‐everlasting‐
-ENCORE-
EN1 Hikari Unplugged
EN2 Sing and Dance!
EN3 SEKAIはボーイミーツボーイ♂(アニメ「腐男子高校生活」キャラクターソング)
EN4 はじまりの日に

7thシングル「ハートシグナル」7月12日(水)発売
羽多野渉公式サイト
http://hatanowataru.dive2ent.com/

キツカワトモ

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