| PICK UP | 2020.02.17

ゲスト・駒田航も参戦! 朗読劇「おみくじ四兄弟 冬の探偵はローストビーフがお好き」夜の部レポート

WEBサイト「KIKI by VOICE Newtype」のオリジナルコンテンツ「おみくじ四兄弟」の朗読劇が、2019年12月21日(土)、東京・豊洲PITにて開催された。四兄弟を演じるのは、羽多野渉、斉藤壮馬、西山宏太朗、武内駿輔の面々。第2弾となる今回は駒田航をゲストに迎え、クリスマスイブに起こった殺人事件に挑む四兄弟が描かれた。昼夜2回公演のうち、「KIKI」では夜の部の模様をお届けする。


出演者の腹筋も鍛えられた!?
笑顔に満ちた朗読劇


朗読劇第2弾となる本作は、四兄弟が暮らす木々神社の近くにあるという洋館が舞台。長男・柊(羽多野渉)、次男・文人(斉藤壮馬)、三男・青葉(西山宏太朗)、四男・志季(武内駿輔)たち四兄弟は、洋館で行われるクリスマスパーティーの準備を手伝うことに。しかし準備も半ばにして、駒田航が演じる館の主・緒方航一がキッチンで血塗れとなって発見されるのだった。四兄弟は容疑をかけられ、警察官だという航一の弟・航二(駒田)から取り調べを受ける。互いの無実を証明するため、兄弟たちの推理劇が開幕する――というストーリーだ。


2019年4月7日(日)に開催された第1弾・朗読劇「おみくじ四兄弟 春はおむすび!」で見せた揃いの白い袴姿とは打って変わり、四兄弟はそれぞれ私服姿で現れる。ひとりずつスポットライトが当たり、キャラクター紹介の終了と共にステージが暗転するという流れのなか、柊を演じる羽多野がキメキメのポーズを! 会場が沸く一方、舞台上のメンバーは笑いをこらえるのに必死だった様子。

終演後の挨拶で、西山は真っ先に「腹筋が鍛えられました。なんですか、あの暗転中の変な動きは!」とツッコミを入れていたほどだ。「あれはズルイですよ」(武内)、「三度見くらいしちゃいました」(斉藤)と口々に言う“弟”たちに、羽多野は「昼の部をやってみて、この時間は使えるなと思ったんだよね。ただ立っているのもなんだなと思ってやったんだけど、僕だけだったから恥ずかしかったです」と照れ笑いを浮かべていた。その一方で、西山は「あそこで羽多野さんのアドリブがあったから、夜の部はこういう感じでいくんだなと、みんなのお芝居の方向性が固まったよね」ともコメント。駒田をはじめ、ほかのメンバーも大きくうなずいていた。


見せ場である四兄弟による推理劇は、それぞれの個性が爆発し、とんでもない方向へ全力で針を振り切ったものに! 歌うことが大好きな志季(武内)が、即興で披露した3曲のタイトルの頭文字が「こ・う・じ」だったことから、館の主・緒方航一の弟である航二こそが真犯人だと推理。航二にはただの偶然に過ぎないとバッサリ切り捨てられたものの、楽しそうに歌う志季の姿が観客を魅了したことは間違いない。

猫を愛する青葉(西山)は、洋館で飼われている猫から証言を得ようと奮闘。流暢に「ニャーニャー、ニャニャ?」などと話しかけるも、残念ながら重要参考“猫”にはまったく通じず……。とはいえ、可愛らしい西山の演技に、会場からは黄色い声が飛び交った。


文人(斉藤)は華麗な推理を披露……ではなく、宇宙規模の愛を説いて航二に自白を促すという手法を選ぶ。まるで愛しい人を口説くかのような斉藤の熱演を前に、ほかのメンバーはたまらず肩を震わせてしまう一幕も。

そしてトドメとばかりに、柊(羽多野)の迷推理が炸裂する。柊が「航一と航二は、ひとりの女性・A子さんを取り合っていたのではないか?」と切り出すと、彼の推理ならぬ妄想を再現するかのように、舞台上では文人たちによるドラマ仕立てのやりとりが! 劇中劇ではA子役を斉藤、航一役を西山、航二役を武内が演じ、大爆笑を巻き起こした。

さらに妄想の終盤では、役者陣も予想外の展開が待ち受けていた。A子が交通事故に遭ったシーンで、赤いランプと、アップで映し出された斉藤の顔がうまい具合にクロスしたのだ。柊として真剣な様子で推理を披露しなければならなかった羽多野は、終演後に「あれはひどいよ(笑)!」とツッコミを入れ、間近で見ていた西山と武内も「あんなコラボレーション、聞いてなかったよね」と大爆笑だった。朗読劇の最中は必死に笑いを抑えていた駒田も「あのアップのシーン、昼より長かったですよね?」と指摘し、当の斉藤も「まだ瞬きしちゃダメなのかな、と思いながらやってた(笑)」と舞台裏を明かした。

そんな四兄弟に振り回されながらも、同じくらい翻弄し返した緒方兄弟。2役を見事に演じ分けた駒田は、随所にアドリブを盛り込み、羽多野たちとの掛け合いを楽しんでいた。なかでもとくに会場を沸かせたのは、外套(ケープ)を羽織った四兄弟に対する着こなしチェックのシーンだろう。シャーロックホームズを彷彿とさせる外套は、パーティーで仮装しようと志季が持ち込んだもので、推理を披露するに当たって四兄弟がそろって羽織ることに。しかし微妙に肩からズレているメンバーもおり、駒田演じる航二が小言を挟みながら外套の位置を直していく。そんな様子に、ファンも歓声を上げていた。


また物語終盤で登場するローストビーフのくだりは、終演後の挨拶でも話題に。航二が皿にかぶせられたディッシュカバーを外し、航一が最期に作ったローストビーフを四兄弟に見せて回るシーンだ。四兄弟が亡くなった航一への想いをこぼす感動的なシーンなのだが、ここにも思わぬ仕掛けが待っていた。リハーサル時は皿になにも乗っていなかったが、昼の部でいきなり本物のローストビーフが登場。さらに夜の部では量が増え、ステージ上はローストビーフのいい匂いに包まれたという。


駒田は「最初から壮馬がすごい笑ってて。でも隣のタケ(武内)は笑っていなかったから、ほらほらーって皿を近づけてみた」と明かしつつ、「お客さんもにこにこと笑ってくれて、すごくうれしかった」とやり遂げた自分に満足げな表情。四兄弟のなかでは唯一、笑いをこらえることに成功した羽多野も、「リハのときから、やればやるほどおもしろくなっちゃう」とこぼして会場を爆笑させた。

およそ1時間半にも及ぶ朗読劇は、終盤へ。兄弟たちのもとには、幼い頃、サンタクロースに書いた手紙が……。最後は「おみくじ四兄弟」らしい、ほのぼのとした空気に包まれ、聖なる夜を迎えるのだった。


カーテンコールに再登場した5人は、アドリブ合戦となった朗読劇を振り返った。また、本朗読劇をBlu-ray&DVDとして発売することも発表され、この吉報に際し、羽多野が思わずといったふうに「どんなふうに収録されるんだろう……」とぽつり。ステージ上のメンバーはもちろん、公演の一部始終を目撃した会場中を笑わせた。

「こうして『おみくじ四兄弟』にゲストとして、しかもおもしろい役どころで参加させてもらって、僕自身も純粋に楽しかったです。よく知っている面々と、先輩しかいませんので、やりやすくてしょうがなかったなと(笑)。本当に楽しく笑えました。皆さんにも楽しんでもらえていたらうれしいです」(駒田)


「要所要所で笑ってくださったり、リアクションをしていただけて、本当にうれしかったです。クリスマス直前というよきタイミングでイベントができたのも、とてもよかったなと思います。まだまだ寒さも続くので、ご体調に気をつけて、いい年末を過ごしていただければ幸いです。本日はありがとうございました」(武内)

「今回は駒ちゃんという強力なスーパーマンが駆けつけてくれて、こうして皆さんの前で『おみくじ四兄弟』の朗読劇をすることができ、なんだか感慨深いなあと思っています。このメンバーはお互いに士気を高めあったり、引き上げたり、逆に足を引っ張りあったりします(笑)。ひとりが噛んだり笑ったりすると道連れにしたがる感じとか、僕はもう大好きで。そういう僕ら『らしさ』が出ている作品だなと感じます。またこのような機会があったら、一緒に楽しい時間を過ごせたらいいなと思っています」(西山)


「昼、夜と2公演、いい汗かかせていただきました。『おみくじ四兄弟』がスタートした当初、僕個人としては、こんなに笑いにあふれたコンテンツに成長できるとは予想していませんでした。これだけの規模感のセットを組んでいただいて、大勢の皆さんの前で朗読をさせてもらえるのは、本当に夢のような話で……。応援してくださる方々のおかげだと思います、ありがとうございます。またお会いできる日を楽しみにしています」(斉藤)

「壮馬の言葉にもありましたが、『KIKI』のなかで展開するコンテンツとしてスタートした『おみくじ四兄弟』が、こんなにたくさんの方に朗読劇を観ていただけるまでに成長しました。さらに今回はゲストも呼んでお芝居ができ、どんどん進化しているのを感じます。『おみくじ四兄弟』は盆暮れや正月が似合うと思うので(笑)、そういった節目のタイミングでもっといろいろなことができる作品なんじゃないかなと。ぜひ、皆さんのお声も聞かせてもらいたいと思います。そして、これからも『おみくじ四兄弟』を愛してもらえたらうれしいです」(羽多野)

思い思いのメッセージを届けた5人。最後は会場と一体になって「メリークリスマス!」と呼びかけあい、笑顔があふれた朗読劇は幕を閉じた。


朗読劇「おみくじ四兄弟 冬の探偵はローストビーフがお好き」
2019年12月21日(土)東京・豊洲PIT<夜の部>
WEB  https://kiki-voice.jp/omkj/
Twitter @KIKIMIKUJI

CAST
柊=羽多野渉
文人=斉藤壮馬
青葉=西山宏太朗
志季=武内駿輔
洋館の主 ほか=駒田航

STAFF
原案:KIKI(ボイスニュータイプ編集部/KADOKAWA)
キャラクターデザイン:pako
脚本・演出:川尻恵太
制作協力:アズムプロダクション
運営:キョードー東京
主催:フライングドッグ
© KIKIMIKUJI 2016

撮影山口宏之
藤谷燈子